'Happenings' in the New York Scene
1.Bibliography / 書誌情報
Allan Kaprow, “Happenings” in the New York Scene, The New Media Reader, The MIT Press, 2003, pp.83–88.
アラン・カプロー「ニューヨークシーンにおけるハプニング」
Original Publication
Art News 60(3):36–39,58–62. 1961. Reprinted in Allan Kaprow,Essays on the Blurring of Art and Life, ed. Jeff Kelley. Berkeley:University of California Press, 1993.
2. Author’s information / 著者紹介
Allan Kaprow
アメリカ合衆国の芸術家。1950年代から1960年代にかけ、ギャラリーや市街地で、観客や一般人を不意に巻き込む身体パフォーマンスやゲリラ的作品展示「ハプニング」を仕掛け、その創始者及び命名者となった。
3. Summary / 要約
イントロダクション
ハプニングは20世紀の50年代と60年代に発生し、多くのショーやイベントを記述するために使われたこと。主な主催者はアラン・カプローである。
ハプニングがその時代に獲得した大きな名声は主に体験したことのない人たちに由来していることを読者に伝えた。このような大きな影響力を持つ理由は、「Happenings」が視聴者とクリエイターの違いを打破しようとする願望を反映し、激していることにあり、これは多くの新メディア事業者の現在のコアな願望と活動でもある。
本文
ハプニングは最も冒険的で，応用的，挑戦的な作品である。そしてこれはどんなに型破りであっても本質的には演劇作品である。尋常でないパワーと原始的なエネルギーを持つハプニングは、アメリカのアクション・ペインティングからの派生であるが、「演劇」という概念を広げて、基本的な背景を踏まえることでより理解しやすくなるのではないか。同様のアートは各国にあり、大阪の具体美術協会やサーカスなどが報告されている。
ハプニングは、通常の演劇作品とは異なるいくつかの重要な性質を持つ。１つは文脈である。つまり構想や上演の場である。最も強烈で本質的なハプニングは、空き店舗、自然環境、路上などで生まれ、少数の観客が何らかの形でイベントと混ざり合い、それらの間を行き来している。ハプニングが活躍する場は野外的でで生々しい。ハプニングと演劇の第二の重要な性質は、ハプニングにはプロットや明白な「哲学」がなく、次に何が起こるかわからないという即興性があることである。ハプニングに見られる第三の違いは偶然性である。これは従来の演劇ではほとんど生じない。それは自然発生的なものである。最後に、ハプニングと演劇の関係性について述べたいのは、その無常性である。ハプニングは不測の事態に重きを置いて構成されるために再現性がない。ハプニングは、単なる新しいスタイルの一つではなく、道徳的な緊急性の高い行為である。
成功した芸術家はいったん認めれ、多額の報酬を得た後は、パトロンたちの利益に屈している。芸術のパトロンたちは、腐敗させようとは思わないし、実際にそうしているわけでもない。しかし、パトロンもアーティストも自分の役割を理解していない。これはアメリカの勝利を祝うことが好きという背景に影響される。アメリカのポジティブな性格の多くは、メロドラマという言葉で理解することができる。そして今、アメリカのアーティストがメロドラマ的な人物になっている。「ジョージ・ワシントンと桜の木」の話でも知られるように、彼らの人生とほとんど茶番的な社会的立場の硬くて愚かなメロドラマが、彼らのすることに力強くも壊れやすい熱を吹き込んでいるのだ。彼らが有名になるのは死んでからだという考え方もある。残念で悲劇的なことは、今日の前衛芸術家は、冒険に任せるのではなく、非常に早く賞を与えられてしまうことだ。しかし、彼らは心の奥底で、神話を維持するために、少なくとも精神的には死ななければならないと思い込んでいる。それゆえ、彼らの芸術の創造的側面は停止する。どこから見ても、彼らは死んでいて、有名人なのだ。
このような達成と死という文脈の中で、ハプニングを作るアーティストは、最も純粋なメロドラマを生きている。彼らの活動は、非成功の神話を体現している。なぜなら、ハプニングは売ったり持ち帰ったりすることができず、支援することしかできないからだ。ハプニングは、合理的だが予定外のプロセスによって、現在の文化的成熟を急ぐ我々の仕組みが続く限り、まさに機能しうる芸術として出現したのではないか。ハプニング作家の中にはおそらく有名になる人がいる。それは、作品を見たこともない人たちによって、皮肉な名声が作り上げられることでしょう。しかし、サイコロの目のようなポジティブな面もあるのではないだろうか。ハプニングは一つの精神状態になるかもしれない。その場に居合わせた人はいるだろうか。新しい神話が、特定の何かに言及することなく、それ自体で成長するとき、アーティストは、誰も気づかない何かを自由に探求しながら、純粋に想像上の何かで有名になる、美しいプライバシーを達成するかもしれないからだ。
編集：宇田拓夢　王京京